民知の図書館
3.「自分」を生きるための思想入門
竹田青嗣 1992年 芸文社 \1300
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【哲】学者ではなく、【哲学】者の竹田青嗣(せいじ)氏の『「自分」を生きるための思想入門』は、なまなましくありありとした生(せい)に立脚した本来の哲学について語っています。
それは著者自身が冒頭で次のように語っているごとく、私たち普通の人間にはごく当たり前のように思えます。
『哲学は生きることが苦しくなった時に役に立つ技術』
『哲学は自分と他人、自分と社会の関係をを深く了解するための技術』
なんですが、現実の哲学界ではそんな意識はなく、枝葉末節(しようまっせつ)の形式主義、事実主義、最新流行のオッカケ、というのが実態のようです。
ベストセラーになった『ソフィーの世界』はとてもよく書かれた本ですが、やはりこの点に関しては物足りないものがあります。もしそんな風に感じた方がいれば是非この本を読んでもらいたいと思います。
哲学の本ではありますが、おそろしく平易に明晰(めいせき)に書かれていますのでじっくり読めば高校生以上ならわかるんじゃないかと思います。
参考までに簡単な目次を記します。
第1章 「私」という存在 - 人はなぜ「私」にこだわるのか
第2章 「他者」という存在 - なぜ他人は「私」を脅かすのか
第3章 自己と欲望 - 人生は欲望ゲームの舞台である
第4章 恋愛における欲望 - 男女のかかわりとエロティシズム
第5章 「私」と世界 - 人はこの世界とどうかかわっていくのか
第6章 生と死の間 - 死をどう受けとめるかが生の姿勢を決める
4.自分を知るための哲学入門
竹田青嗣 1990年 ちくまライブラリー
\1300
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『自分を知るための哲学入門』は同じく竹田青嗣氏の手になる本ですが、時期的には前述『「自分」を生きるための思想入門』の前に書かれたものです。
こちらも主旨は同じなのですが、現実の生に引き寄せた哲学史といってもいいでしょう。哲学の歴史や内容そのものにも興味のある方にはお勧めです。
これも参考までに簡単な目次を載せておきます。
第1章 哲学"平らげ"研究会
第2章 私の哲学入門
第3章 ギリシャ哲学の思考
第4章 近代哲学の道
第5章 近代哲学の新しい展開
終章 現代社会と哲学
ちなみに竹田青嗣氏の哲学の系譜はソクラテス/プラトン、キルケゴール、ニー チェ、フッサール、ハイデッガー、レヴィナスという現象学、実存論の流れにはありますが、哲学界の主流である考え方とはかなり異なる『生きた哲学』にその素晴らし
さ、独創性があります。優れた著作は多数あり、この系譜に沿ったものとなっていま す。興味のある方は竹田青嗣氏のサイトへ---→
5.はじめての現象学
竹田青嗣 海鳥社
\1700
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哲学とは一体何なのか、現実に生きている私達にとって哲学とはどういうものなのか、おそろしくわかりやすく、本質を捉えている点で、この本に勝るものは存在しない。
というわけで、タケセン一押しの哲学入門書です。
大学の哲学の授業は難解な言葉の羅列とその説明から入ることが多いそうな。学生の誰も理解できず、おそらくはしゃべっている本人もわかっていないんだろうというのが学生の弁。難解なことを述べ立てるのがエライというのが哲学界の常識?
本来ならこの『はじめての現象学』が哲学教育の入門書として扱われればよいのに。そんな本です。
6.言語的思考へ
竹田青嗣 2001年 径書房 \2200
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左から竹田青嗣夫妻、佐野力氏、タケセン
1992年10月 タケセン宅
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竹田青嗣(せいじ)氏は館長タケセンの友人でもありますが、その昔、あるチョー有名な哲学者にタケセンはこう紹介したそうです。
『竹田さんはいずれ現象学の立場から言語論の解明を行うことになる人だ』と。
それが現実となったのがこの本です。
読んでびっくり仰天玉手箱。
何じゃこれは、こんなおやさしいタイトルの本とちゃうで。
現代哲学の最大の課題は言語論といわれているのですが、どれも堂々めぐりの机上の難解論理ごっこの体(てい)をぬぐいきれない状況と言われています。ところがこれはどうでしょう。決着をつけちゃった、という感じなんです。
というわけで、ちょっと難しいんですけど紹介せずにはおれません。難しいという意味は、難解だということではありません。事実、哲学書の中では最も平易に明晰に書かかれてるんです。問題はある程度の哲学的知識がないとわからんというだけで、それさえあれば誰でもわかると思います。
誰かこれを翻訳して欧米でも読めるようにしてくれないかしらん。とんでもない独創性と豊穣(ほうじょう)さを持った哲学書なんですから。
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